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エックハルトとその時代
エックハルトは神秘主義者と思われていたが,ラテン語著作の校訂と研究の進展もあり,トマス・アクィナスの影響を受け独自に展開したことが明らかになった。トマスと同様にドミニコ会で重責を担い,パリ大学で2度にわたる教授経験をもつなど両者の共通性は示唆に富む。 1323年ケルンに戻った後に,ケルン大司教より異端の嫌疑をかけられ,彼は1327年に正式に弁明するが,翌年に亡くなった。その後1329年に異端として断罪され,以後500年歴史から抹殺され,復活は19世紀後半であった。 本書ではエックハルトの思想の特徴や全体像を紹介するとともに,パリ大学での命題集講義を検討し,未完の『三部作』の聖書注解を通して主要概念である始原論を考察,さらに「思想の歩みの未曽有の高揚」とも言われる「ラテン語説教」を分析した。最後に異端の嫌疑に真正面から反論した『弁明書』を訳出し,エックハルトの拠って立つ基盤を明らかにした。読者は本書を通してエックハルトの思索の深さとその独自性に触れるであろう。
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