|
たいへんおまたせしました
おじいちゃんと孫がレストランに入り、ショートケーキをオーダ―しました。すると、作るのは原材料から! レストランのスタッフは、小麦や牛乳、卵やイチゴ…を調達しにいきます。途中、いちごがうまく育たたず、悪戦苦闘する場面も。待っているおじいちゃんと孫は、時間とともに歳を重ねていき…。果たして、ケーキはできるのか、おじいちゃんと孫は食べられるのでしょうか!? 食材の調達過程を示すことで、日々口にする食べ物が、どのような過程を経て食卓に並ぶのか、それらには多くの手と時間が費やされていることを伝え、自分たちの体をつくる食べ物への関心を促します。そうした思いが、タイトル「たいへんおまたせしました」に込められています。 また、乳製品や卵の調達では、牛の自然放牧や鶏を放し飼いにした里山の中での養鶏場で表し、アニマルウェルフェアを意識しています。現実の畜産業は大量生産を重視した過密過剰拘束、ホルモン投与による過剰な発達、規格外動物察処分といった動物を食料生産機だけとして見る、命を軽視した現場です。そして大量生産は食品ロスという社会問題にもなっています。しかし、それらをはっきり書くことは今回のコンセプトとは異なります。本書が、今後子どもたちが成長する過程で、保護者が生活を営むなかで、食べ物を通じて生き物全般の倫理に関して気づきと問題意識のアンテナをはる種になること、同時に、自分たちの体はどのような食べ物でできていて、栄養を考えるきっかけになることを目指しています。 |